研究者って自称ギタリストと何が違うの?

クソ田舎助教から、政令指定都市に逃亡しました

年賀状から知る先輩の動向

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あけましておめでとうございます!

先輩からの年賀状を見てしみじみ、と思ったのでつらつらと書きます。

 

 

院生だったころ、僕のひとつ上の学年には 2 人の先輩がいました。

2 人ともちゃんと 3 年で学位をとって、研究者としてはばたいていきました。

 

そのうちのひとり、A 先輩は、学部はとなりの都道府県の国立大学卒業で、院から僕の出身研究室に入ってきました。

4 年生で研究室に配属される僕と、M1 で配属される A 先輩は、研究室配属は同時期でした。

抜けてるところも多いけど、優しくてまじめで頑張る親しみやすいよい先輩でした。

 

その先輩は、D3 の中ごろに結婚しました。

すこし年上の彼女と付き合っており、その彼女もちゃんとした製薬会社に勤めていたので、まあ、主に年齢を考慮してそういう流れになったのだと思います。

 

が、無事に学位はとったものの、就職先が決まらず。

というかボスが「世話するから!」と言いながら、何も話は動かず、みたいな感じだったと思うのですが、とにかく無給で研究室に半年ほど残留していました。

 

しかし、これじゃあ埒があかん、ということで、自力でいろいろアプライしたようです。

北の大地のほうの研究所のポスドク職をゲットして出ていきました。

悲しいことに、結婚 1 年くらいで単身赴任となりました。

 

 

 

それともうひとり、今度は B 先輩についてです。

彼は学部からの生え抜きで、頭もすごく切れるんですが、少々わがままさと身勝手さがあって、じゃっかん研究室の雰囲気を乱すところもありました。

しかし、それでもよく慕われ、気に入った後輩に対しては面倒もよく見て、飲み会でも面白がられる人でした。

まあなんだろう。

どこにでもいるアスペ気味な人を、徹底的に排除する、っていう姿勢が僕からしたらちょっと共感できないところもあった、ってくらいでしょうか。

しかしまあ、全体的にはよい先輩であったし、仲もよくて釣りにもいったし、一緒に海外学会もいきました。

 

B 先輩は、卒業と同時に某横綱級の帝大のポスドクでありながら、海外の研究所に勤務する、という素晴らしい身分で就職していきました。

給料もごっついよかったという噂です。

 

 

 

さて、あれからもう 4 年がたとうとしています。

北の大地に旅立った A 先輩は、昨年子供が生まれました。

「子育ては大変やでー」

「妻子にも会えないのがつらいわー」

「俺も次のポジションさがさないとなー」

などなど言ってはいたのですが。

今回の年賀状で、

「北の大地脱出です」と書いてあったので、良い話があったんじゃないかとわくわくして、それからさらに、妻子のために研究諦めて妻子のもとで就職でもするんじゃ、とかも考えて、メールしました。

 

「某北関東の陸の孤島か、某山陰の陸の孤島にいくことなりそうや。

まあ、またポスドクなんやけどね」

とのこと。

そっかあ、と思いながらも、なんか頑張ってそうですごいなーと思いました。

俺も田舎教師すぎて論文出してねえ、やべえ、もっと先輩みたいにがんばらねば、なんて思いました。

「山陰の先生が大御所やから、そっちに行きたい」のようなことも言っていたのでいい先生に恵まれたらよいなと願うばかりです。

 

 

 

さてさて、一方、海外ポスドクの B 先輩からも年賀状に、

「帰国しました」

との文言が。

任期がそろそろ切れるから、今度は英語圏の国でポスドク先を探している、と聞いていたので、あれ? と。

アメリカ行きをやめて帰国ってことは、いいポストつけたってことじゃないの!?

 

で、メールしました。

しかしなんと、

「任期が切れて、この先なんも決まってないから帰国したわー」

「企業とかも含めて探すつもりー」

とのこと。

 

あれまあ。

クソ優秀な先輩だったのに。

英語もペラペラだったのに。

なんでなんだろう。

 

なんでって、優秀だからポストに就けるわけじゃないのは知ってるし、運やタイミングやめぐりあわせもあるのも知ってるし、こんな話当たり前も当たり前なんだけど。

しかしなあ。

明らかにいろいろなものは B 先輩のほうが A 先輩より優っていた気がするけども。

まあ、努力もあれば、取り組んだテーマにも左右されるしなあ。

そかあ。

 

 

クソ優秀だった 5 つほど上の先輩も、去年バイオベンチャーに行ってしまったし、優秀な人ほど、アカデミを離れていっている気がして、なんだかとてもさみしい気持ちになります。

某国立大の講師になった、2 つ上の先輩も、ポスドク続ける気の A 先輩も、ペースを保ってこつこつ続けていく安定感のある人だったからなあ。

やっぱり、仕事や作業も、メンタルも含め、安定している人が残っていくのかもしれないですね。

 

帰国した B 先輩は、

「任期で追い込まれた方が力を発揮する人もいると思うけど、俺はそのタイプではなかったわ」と。

あれだけ図太かった(実は繊細だったけど)先輩も、そう思うんだよね。

やっぱ、普通は思うんだよなあ。

俺も去年まで、泣きそうだったし。

 

 

さあ、世の中どうなっていくのやら。

 まだまだこういう時代よねー。