学力試験がなかったら、今の人生はあったのだろうか?
大学入試の二次試験から学力試験をなくす、とかなんとか。
まあ実現しないとは思うけどもいろいろちょっと思った。
二次に学力試験がなかったら、俺の今の人生はあったのだろうか、と。
一応旧帝大卒だから、世間的には高学歴なんだろうけど、しかし俺もそんな学業優秀だったのかと考えると若干疑問である。
完全に二次試験型でセンター試験は大の苦手だった。
センター試験と二次試験の配点比が二次重視の大学ほど合格判定がよく、センターの比率が上がるほど合格可能性が下がるという、三次関数みたいな合格可能性曲線を描いていた。
(上過ぎたら下がるし下過ぎても上がるからね!)
二次試験に学力試験をいれない、ってことはつまり学力試験はセンター試験だけで、あとはイケメン順に合格ってことでしょ。
俺もう無理じゃん。
絶望的じゃん。
今の人生絶対なかったわ。
とも思ったが。
研究力に頭の良さはまあまあ関係あると思うけども、大学入試の成績と研究力にそこまで関係があるとは思わないわけで。
学部の成績がいいやつが必ず研究できるわけじゃないよね、とはみんなもよくわかっているところで。
研究で自分の道を拓いていった人の人生は、入試の方法に左右されないのかもしれないとも思う。
俺の場合でも、学部の入試がだめでも院試でいわゆるロンダして、それなりのところでそれなりに研究して、結局いまの人生は掴めたのかもしれない、とも思う。
なんだろう、学力入試があったほうが確かに公平だとは思う。
しかし、結局研究職に残る人間って、大学入試のシステムで変わらないような気がするんだよな。
実際さ、大学入試用の勉強はしなかったとしても、自分の興味のある研究に直結するようなことだけはめちゃくちゃ勉強するやつはいっぱいいるし、頭はいまいちよろしくなくても、情熱と努力と体力だけは人一倍ってやつもいる。
W田がイケメンリア充ばっかとるなら、T大はアスペでも鬱にならないメンタルを持ってて研究ばりばりやれるやつだけとるぜ! ってのもありなわけでしょ。
研究力を落とさない人材を、人物で取ることも可能じゃないのかな。
ボランティア活動や部活動を数値化して機械的にやるものしか認めん、とかならかなり白痴国家になるけども。
うーん、どうなるんだろうね。
まあ、入試が変わったせいでみんな勉強をしなくなって、基礎学力がおしなべて低くなってしまうのならそれは問題だけどね。
入試の負担が減った分、好きな勉強をしてました、ってやつが増えるならよいことだしな。
まああれだ。
いまのシステムだったから、いまのお嫁さんに出会えたのかな、と思うといろいろ愛しい気はしますけどねえ。
学生へのテーマの与え方は?
研究室の改装が始まった。
これで 1 か月半ほど、完全に実験はストップします。
慣れない授業や委員会をこなしつつ、研究費もなかなかつかず、実験できねーって言いながら過ごしていたので、夏休みは実験するぞ! なテンションではあったのですが。
まあ、自分じゃ何ともならんことなので仕方ないです。
院生時代にも建物の改修はありましたが、あの時はちょっとずつ改装が進んでいったので、こっちに間借りしては改修し、完成しては引っ越して、また引っ越してて、、、みたいな感じで、完全にストップはしないようにされていたのですが。
あれはまあ、帝大ですからね。
こんな田舎の学校じゃ、夏休み? 学生いないんだから工事ヤッチャオウヨ! 的な考えなのでしょう。
部活の学生も、研究してる学生もいると思うんですけどね…
まあいいや。
そんななか、学生が 2 人やってきました。
卒研配属の前に、半年間だけ研究室に所属して、まあなんていうの。実験しましょうって単位があるみたいなのです。
研究の真似事というか体験というか、要は卒研ほど大変じゃない感じで、一通り卒研ぽいことやってみましょう、半年で、ということみたい。
あんまり大したことはできないかもしれないし、まだまだ知識も技術も足りないだろうから大変そうではあるけど、楽しそうでもある。
しかし、ここで鍛えてみっちり仕込んだからと言って、卒研配属で来てくれるかは未定だそうな。
うーむ、鍛えることにあんまり時間を使っても、こっちに利益はないかもしらんのね。
じゃあテクニシャン的な扱い方をしたほうがいいのか?
しかしまあ、どんな単位であれ、とにかく完全に 1 人ラボで、誰にも会わずに過ごす生活は終了できるみたいだ!
やった!
1 人ってなんとも張りがないし、手も足りないから何も進まないし、何も頼みごともできないし、で、不便だったのでね。
学生が来てくれるのは大変ありがたい。
まじでありがたい。
新任だから、学校の雰囲気とかも聞けるしさ。
他の先生のうわさも聞けるしさ。
この町のおもしろい場所とかも教えてもらえるし。
それで、肝心のこの単位の方針としてはですね、テーマ設定を自分でさせよう、という部分もあるみたいなのですが、実際論文の調べ方も論文の読み方も知らない学生には無理があると思うんです。
どの程度自分で考えさせて、どの程度こちらから与えればいいのだろう。
他の先生に聞いてみたところ、論文にもならない科学クラブ的なことをさせている先生もいました。
ええっ?
限られた研究費で、しかもそれ税金ですよ? そんなんでいいの?
それやらせて何が残るの?
な違和感がすごいありありで。
なんだそりゃ。
もうちょっと研究のできる先生に聞いてみたところ、
「学生が言ってくるのは荒唐無稽で夢物語だから、学生の話は聞くだけ聞いて、あまり振り回されないように気を付けてください」
とのこと。
「夢物語な話でも、自分から何か言ってくれたらいいんですけど…」な雰囲気な学生だったので、そこまで行くのかしらと、これもまた悩む。
「失礼ながら、新任の先生の研究室に行く学生は、そんなにやる気があるとは思えないので…」とのこと。
なるほどね。
実際、来てくれた学生は、
俺「何かしたいことある?」
学生「いえ、何も」
俺「最近の授業でおもしろいと思ったことはある?」
学生「授業はおもしろくないですね」
俺「なんか将来の夢とかはある?」
学生「とりあえず卒業ですかね…」
な感じだったからなあ。
やっぱり、こちらから与えるべきか。
だって、学生がちょっと「へええ」って言うだけで、それ以上やる意味もない科学クラブは嫌だから。
で、むかーししたブクマを思い出すとこんなのがあります。
「優れた研究テーマ」はどう選ぶべき?
Molecular Cell 上に掲載された、「テーマの選び方」に関する論文? コラム? を解説してくれているんですが。
ここでは詳しく書きませんが、このページには、
「研究者人生のステージによって選ぶべきテーマ種は異なる」
と主張していて、
院生ならば「簡単だが重要度の低い」テーマ
を選びましょう、としています。
それに加えて、
駆け出しの独立研究者(PI)は、自らのオリジナリティと存在意義をを示すために、数年単位のテーマを選ぶ必要に迫られます。加えて、何人もの学生を訓練しなくてはなりません。ゆえに、小課題に分割可能な「達成困難でかつ実りの多い」テーマ(Grand Challenge)を追求するのが適切としています。
と、書いてあります。
キーワードは「分割可能」。
いちいち納得できる話ではあるのですが、そうするとつまり、学生へのテーマの与え方は?
小課題に分割可能な「達成困難でかつ実りの多い」テーマ(Grand Challenge)で、その小課題は「簡単だが重要度の低い」テーマ
ということになる、んですね。
そりゃそうだよね。
え?
小課題が簡単で重要度が低いのに、寄せ集めると達成困難で実りの多いテーマ??
んー、そりゃ難しい。
だって、その小課題を寄せ集めても、なかなかきれいに寄せ集まらないのが現実ですよね。
なのでいくら学生が頑張っても大きな成果には直結できなかったり。
しかし、それができたら即「実りの多い成果」に組み込めるような話なら、すでに「簡単だが重要度の低い」って話にはならなそう。
まあ、自分やポスドクがやるなら、そういうテーマ設定でいい訳なんだけどね。
そう思うと、学生へのテーマ選びって、実りの多いものにしようと思うと、自分のテーマ決め以上に難しい気がしてきた。
どう小分割するか、がセンスの見せ所なのかもしれない。
それによって、こういう小さな仕事をさせる学生の成果が、消えていくのか残されていくのかが決まるんだろう。
税金もらってる立場としては、絶対に残さないとですね!!
さあて。
そんなわけで、夏休みがあけて、はやく実験再開できないかなーとうずうず。
そのためにも、研究計画と、後期の授業準備はいまのうちに完璧に終わらしておこうか、と画策中。
研究室入れなくなってもがんばるぞう!
学生が部屋にくる
最近、居室に学生が訪ねてくる。
それ自体はいいことなのだが。
問題なのは、要件がないことだ。
もう 3 回も来ているうちの 1 回は、友達を 5 人くらい連れてきて、2 時間くらいだべって帰っていった。
ほんとうに相談とか、授業で分からないところがあった、とかなら、喜んでいろいろ話せるのだけど、友達とだべりにきている学生にどう対処していいのかまるでわからない。
メインで慕ってくれている (?) その男子学生はH君というのだが、H君はいろいろ不満があって、それをぶちまけたいような雰囲気を感じる。
要はクラスになじめていない?
(あとアニメの話も俺としたいらしい)
でも内容はしょうもなくて、クラスの女子にもてたいけど、あまり人気を得られていない、というのが彼の不満の原因のようで、「女子ってなんなんですか」みたいなことをひたすら言ってくる。
「クラスの女子全員に LINE でブロックされてるんですよー」
「クラスのMさんが好きなんですけどMさんにもブロックされてるんです」
「でも俺Mさんのこと諦められないんすよ!」
「でもMさんとは 2 回しかしゃべったことないんです」
「でも俺Mさんのこと諦められないんすよ!」
「あいつ、まじでかわいいから好きなんですよ」
「いや、顔とかじゃなくて、性格がまじでかわいいんです!」
2 回しかしゃべったことないってさっき言ったよね!?
それで諦められないくらいに性格わかってんの!?
うあーまじ支離滅裂だ。
きのうは、1 限にした僕の授業が難しかった (?) らしく、夕方に女子学生が何人か質問に来ることになっていた。
女子学生たちがくる少し前に、なぜかH君も部屋に来ていた。
女子学生は 4 人きた。
そのなかにMさんもいた。
Mさんは僕の居室まで来て、中にH君がいるのを見るや、部屋に入らず帰っていった。
結局、授業内容について教えたのは、残りの 3 名の女子学生に対してだった。
うあーまじで嫌われているようだ。
これどうなんだろう。
H君はちょっと問題おこしてるの?
Mさんは大丈夫なのか?
むしろH君がいじめられてるの?
いろいろ心配になるが、俺が首をつっこむ問題かどうかもよくわからない。
帰りしなに「俺勉強頑張って女子たちを見返します」のようなことを言ってはいたけど、女子学生に教えている間一切一緒に説明を聞こうとはしていなかったH君…
まあ、がんばってくれ。
学生生活は長い。