研究者って自称ギタリストと何が違うの?

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嫌気性菌の培養、ストック

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なんか思い立って嫌気性菌の培養を始めました。

超好熱性アーキアThermococcus kodakaraensis ってやつです。

 

アーキアって古細菌っていわれてるやつだよねえ。

でもまあ菌でしょ? バイ菌でしょ? 大腸菌みたいなもんでしょ?」

って、思う方は多いと思いますが、実は全然違うんです。

生物を大まかにわけると、

・真核生物

・真正細菌

アーキア

って感じに 3 ドメインに分かれます。

そのくらい、細菌とは違うんですよ。

 

で、こいつは 60-95 度くらいで生きるやつで、さらに嫌気性なんです。

空気に触れるとダメなやつ。

嫌気性菌の培養なんてしたこともなく、聞ける相手もいなかったので、なんかいろいろ試してみました。

しかし、この菌の大御所は京大系で、いまは立命館大に移られている先生で、その方とつながりのある方なら、もっとばっちりした手法をご存じなのだろうなと思います。

こんなエントリ見たら一笑にふされるだろうし恥ずかしい。。。

 

しかしまあ、私のような弱小研究者のために、私のチャレンジの経緯を少しだけ紹介して、ノウハウない人のためのコダカラ培養講座とします。

 

 

とりあえず、アネロパックです。

 

 

こいつを袋に入れて、培地と一緒に密閉すると、酸素を吸いこんでくれて嫌気状態になります。

プレートはそうだろうけど、液体培地でもいけるのかなー、と思って試したら、案外いけました。

培地 50 ml 程度で試したんですが、ばっちり増えましたよ。

しかし、ファルコンチューブのような細長い形状では増えず、径の大きくて液体培地と空気の触れる表面積の多そうな容器でのみ増えました。

ふむ。

 

あとは、グリセロールストックができるかどうかなんだけども、、、

これができないと保存できない。

嫌気状態で保存しなきゃ死ぬのか?

 

と思って、グリカル作りました。

1、普通に空気中で培地をとって、そこに 15% グリセロールをいれて -80 度でストック。

2、普通に空気中で集菌して、培地を捨てて GTE buffer に置換して懸濁し、15% グリセロールを入れて -80 度でストック。

 

そして、それらを培地に移して嫌気培養すると、、、

2で増えました。

1で増えず。

 

ほほう。

 

そうなのか。

そうなのね。

 

長期で保存するとどうなるかはわかりませんが、とりあえず培養と保存はこれでいけることがわかりました。

こいつは培地が中性付近なのでいけるような気がします。

好酸性菌なんかだと、プロトンを細胞外にどんどん排出し続けるポンプがとまると細胞内まで酸性になって死んじゃうらしく。

普通に凍らせるだけじゃポンプが止まって死滅するって話も聞いたことがあります。

酸性条件で培養する菌なら気を付けなければならないですねー。

 

嫌気性菌をノウハウないくせに培養してみようと思った方はぜひ参考にしてください。