研究者って自称ギタリストと何が違うの?

クソ田舎助教から、政令指定都市に逃亡しました

学生へのテーマの与え方は?

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研究室の改装が始まった。

これで 1 か月半ほど、完全に実験はストップします。

 

慣れない授業や委員会をこなしつつ、研究費もなかなかつかず、実験できねーって言いながら過ごしていたので、夏休みは実験するぞ! なテンションではあったのですが。

まあ、自分じゃ何ともならんことなので仕方ないです。

 

院生時代にも建物の改修はありましたが、あの時はちょっとずつ改装が進んでいったので、こっちに間借りしては改修し、完成しては引っ越して、また引っ越してて、、、みたいな感じで、完全にストップはしないようにされていたのですが。

あれはまあ、帝大ですからね。

こんな田舎の学校じゃ、夏休み? 学生いないんだから工事ヤッチャオウヨ! 的な考えなのでしょう。

部活の学生も、研究してる学生もいると思うんですけどね…

まあいいや。

 

そんななか、学生が 2 人やってきました。

卒研配属の前に、半年間だけ研究室に所属して、まあなんていうの。実験しましょうって単位があるみたいなのです。

研究の真似事というか体験というか、要は卒研ほど大変じゃない感じで、一通り卒研ぽいことやってみましょう、半年で、ということみたい。

あんまり大したことはできないかもしれないし、まだまだ知識も技術も足りないだろうから大変そうではあるけど、楽しそうでもある。

しかし、ここで鍛えてみっちり仕込んだからと言って、卒研配属で来てくれるかは未定だそうな。

うーむ、鍛えることにあんまり時間を使っても、こっちに利益はないかもしらんのね。

じゃあテクニシャン的な扱い方をしたほうがいいのか?

 

しかしまあ、どんな単位であれ、とにかく完全に 1 人ラボで、誰にも会わずに過ごす生活は終了できるみたいだ!

やった!

1 人ってなんとも張りがないし、手も足りないから何も進まないし、何も頼みごともできないし、で、不便だったのでね。

学生が来てくれるのは大変ありがたい。

まじでありがたい。

新任だから、学校の雰囲気とかも聞けるしさ。

他の先生のうわさも聞けるしさ。

この町のおもしろい場所とかも教えてもらえるし。

 

それで、肝心のこの単位の方針としてはですね、テーマ設定を自分でさせよう、という部分もあるみたいなのですが、実際論文の調べ方も論文の読み方も知らない学生には無理があると思うんです。

どの程度自分で考えさせて、どの程度こちらから与えればいいのだろう。

 

他の先生に聞いてみたところ、論文にもならない科学クラブ的なことをさせている先生もいました。

ええっ?

限られた研究費で、しかもそれ税金ですよ? そんなんでいいの?

それやらせて何が残るの?

な違和感がすごいありありで。

なんだそりゃ。

 

もうちょっと研究のできる先生に聞いてみたところ、

「学生が言ってくるのは荒唐無稽で夢物語だから、学生の話は聞くだけ聞いて、あまり振り回されないように気を付けてください」

とのこと。

「夢物語な話でも、自分から何か言ってくれたらいいんですけど…」な雰囲気な学生だったので、そこまで行くのかしらと、これもまた悩む。

「失礼ながら、新任の先生の研究室に行く学生は、そんなにやる気があるとは思えないので…」とのこと。

なるほどね。

 

実際、来てくれた学生は、

俺「何かしたいことある?」

学生「いえ、何も」

 

俺「最近の授業でおもしろいと思ったことはある?」

学生「授業はおもしろくないですね」

 

俺「なんか将来の夢とかはある?」

学生「とりあえず卒業ですかね…」

 

な感じだったからなあ。

やっぱり、こちらから与えるべきか。

だって、学生がちょっと「へええ」って言うだけで、それ以上やる意味もない科学クラブは嫌だから。

 

で、むかーししたブクマを思い出すとこんなのがあります。

 

「優れた研究テーマ」はどう選ぶべき?

Molecular Cell 上に掲載された、「テーマの選び方」に関する論文? コラム? を解説してくれているんですが。

ここでは詳しく書きませんが、このページには、

「研究者人生のステージによって選ぶべきテーマ種は異なる」

と主張していて、

院生ならば「簡単だが重要度の低い」テーマ

を選びましょう、としています。

 

それに加えて、

駆け出しの独立研究者(PI)は、自らのオリジナリティと存在意義をを示すために、数年単位のテーマを選ぶ必要に迫られます。加えて、何人もの学生を訓練しなくてはなりません。ゆえに、小課題に分割可能な「達成困難でかつ実りの多い」テーマ(Grand Challenge)を追求するのが適切としています。

 と、書いてあります。

キーワードは「分割可能」。

 

いちいち納得できる話ではあるのですが、そうするとつまり、学生へのテーマの与え方は?

 

小課題に分割可能な「達成困難でかつ実りの多い」テーマ(Grand Challenge)で、その小課題は「簡単だが重要度の低い」テーマ

ということになる、んですね。

そりゃそうだよね。

 

え?

小課題が簡単で重要度が低いのに、寄せ集めると達成困難で実りの多いテーマ??

んー、そりゃ難しい。

だって、その小課題を寄せ集めても、なかなかきれいに寄せ集まらないのが現実ですよね。

なのでいくら学生が頑張っても大きな成果には直結できなかったり。

 

しかし、それができたら即「実りの多い成果」に組み込めるような話なら、すでに「簡単だが重要度の低い」って話にはならなそう。

まあ、自分やポスドクがやるなら、そういうテーマ設定でいい訳なんだけどね。

 

そう思うと、学生へのテーマ選びって、実りの多いものにしようと思うと、自分のテーマ決め以上に難しい気がしてきた。

どう小分割するか、がセンスの見せ所なのかもしれない。

それによって、こういう小さな仕事をさせる学生の成果が、消えていくのか残されていくのかが決まるんだろう。

税金もらってる立場としては、絶対に残さないとですね!!

 

さあて。

そんなわけで、夏休みがあけて、はやく実験再開できないかなーとうずうず。

そのためにも、研究計画と、後期の授業準備はいまのうちに完璧に終わらしておこうか、と画策中。

 

 研究室入れなくなってもがんばるぞう!